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いざ、ご対面 4
鼓は伝言を言えと要求するが、古木に先に昼飯食べないと言わないと言われ唸った。
結局その後、鼓は昼食を拒否し金平糖をひと袋食べ、時間が過ぎた。もう一度言う、金平糖をひと袋、だ。
食べさせることを諦めた古木は、大人しく口を開く。
「先輩からの伝言。『逃がさないから、変なこと考えないで』です」
「……っえ、は、はぁ?」
思わず息が詰まる。自分の考えていたことを見抜かれたような気分になり、流石の鼓もゾワッと鳥肌を立たせた。
ここに遼介はいないのに、まるで今ここで心身ともに覗かれているような感覚に襲われる。
「涼川が先輩のことを拒否するようなことを言った時に聞かせてくれって言われてる」
「ああ…そう……なんだ」
「これどういう意味か涼川分かる?」
「うん…分かっちゃったから…今、本当にちょっとだけど…遼介が、怖い」
「えええ…そんな怖い意味なのこれ。涼川が怖がるとか」
まだ長袖の制服の上から腕を摩る。壊したボイスレコーダーをなんとも言えない表情で流し見て、鼓は心の中で謝罪する。
(…遼介、ごめんなさい)
それは、どちらの意味の謝罪なのか。
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