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某ネズミの国でお揃いの物を14
コースターはある程度高さのある場所に位置付けられておりそれなりに人が並んでいた。しかし先ほど遼介が買ってきた優先入場券を首から下げたおかげで二人はかなり先に行くことが出来た。
(優先入場券すごい、こんなに早く行けるなんて。通常120分待ちとか書いてあったけど優先のほうは15分待ちだし、あとでもう一回遼介にお礼言わないと!!)
鼓は楽しみすぎて足早に山を登って行ってしまい、そのあとをゆっくり遼介が追いかける形となった。もちろん微笑付きで。
ーその優先用の通路を通る際、幾人もの人が遼介と鼓を惚けて見ていた。見目麗しい二人が人だかりに入れば、やはりというべきか視線は自然とそちらに吸い寄せられてしまうのである。しかし見られることに慣れている二人はそのようなことを気にするはずもなく、特に鼓は奇異や嫌悪、厭嫌、淫靡、といったような不快感のある視線ではない限り完全な無視ができるのだった。
ようやく一番上までたどり着きコースターに乗るその頃には、鼓の興奮度はマックスになっていた。目がらんらんとしている。
対する遼介は手荷物検査の時にカメラは落下の危険性があるからとすべて保管されてしまい、意気消沈していた。そう、すべて。いくつカメラを持っていたのかはあえて伏せることにしよう。
「遼介どうしたんですか?」
たまたまそのシーンを見ていなかった鼓は純粋に聞いてくるが、遼介は「ははっ…」と乾いた笑みを浮かべながらなんでもないよと言った。
(…?あ、遼介もお腹空いてきたのかな)
それは鼓だけだ。
まったくもって見当違いな推測を鼓がしたすぐ後、シートベルトを確認してください、そうアナウンスが流れた。そしてコースターがゆっくり動き出し、…。
写真は一切取れなかったものの遼介はそれなりに満足して帰ってきた。爽快感があり、なかなかスリリングなコースターだったと勝手に評価する。逆にその隣の鼓は……無言でうつ向いていた。ピクリとも動かない。前のコースターが動き出すまで手前で待つ必要があり、遼介は隣に乗っていた鼓の背中を優しくさすった。
「つーくん…大丈夫?もしかして酔っちゃった?」
さっきのホラーほぼ怖がってて酔うどころじゃなかったし…と遼介は考え声をかけた。しかし鼓の返答は
「遼…介、」
「うん、なに?」
「す……………………っっっごく楽しかった!!!もう一回乗りたいです!!!!」
「あ、う、うん、了解」
予想と違っていた。ばっ!といきなり顔を上げ満面の笑みを浮かべた鼓の勢いに思わず遼介も体を反らしてしまったのだった。
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