245 / 437
某ネズミの国でお揃いの物を 16
レストランにて遼介は無難にオススメメニューを、鼓はメインディッシュ&オススメメニュー(合計3つ、もちろんサラダとスープ付き)を全て頼んだ。
純粋な店員「お客様カトラリーとおしぼりはいくつおつけいたしますか?」
お腹が空いて思考が停止している鼓「あ、1つで」
純粋な店員「え?!だ、大丈夫ですよまだまだたくさんカトラリーもおしぼりもありますから!」
お腹が空いて思考が停止している鼓「へ…?」
純粋な店員「え…?」
少しの間2人はこのような会話をし、その光景を遼介は口元を抑え笑っていた。
その後遼介は鼓に笑ってないで助けてくださいよ!とポカポカ殴られたのだった。
食事後流石にこの状態で絶叫マシーンに乗るのはまずいと悟ったのか、鼓はゆっくりエリアを見回ることに決めた。
「つーくんが楽しそうで俺も嬉しいよ」
隣で歩く遼介にそう言われ、なぜだか鼓は顔が赤くなるのを感じた。
(そんなに緩んでるのかな…)
頬を片手で触る姿にさらに遼介は和んだ。学校では見られない姿がかなり見れたことで満足しているようである。
鼓は学内ではほとんど笑わない。そもそも笑うような出来事もあまりないのだが、遼介の前ですらあまり笑わないので少し寂しいと感じてしまうのだった。さらに表情を出すこともないので、今日は本当に色んな姿が見れる、と喜んでいた。
そして今から聞く質問でその楽しそうな表情が崩れることが、…かなり心苦しかった。
「つーくん、聞きたいことがあるんだけど」
数歩先を歩いていた鼓がなんですかーと返してくる。
「あのヴァイオリンって「遼介」…」
振り返った鼓の顔は
笑顔だった。
「遼介、その話は、また今度、ね?」
「……うん」
その顔の有無を言わせぬ雰囲気に遼介は口をつぐむしかなかった。
ともだちにシェアしよう!