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今日は欠席です 1
リビングのふかふかのカーペットで鼓が目を覚ました時、時刻はすでに10時半であった。
授業の開始時刻は8時半であり1時間半ほど寝過ごしたことになる。
「…………は?」
鼓の第一声はこれであった。
(待って、俺、昨日…そのまま寝て…あああああ!!!!)
慌てて起き上がるも、流石に床で寝てしまっただけあって体が痛く唸りながらまた床へ舞い戻った。いくらカーペットがふかふかでもダメージ軽減には至らないらしい。
(今から用意しても20分は掛かる急がないと、あ、その前に学校に電話…)
携帯で学校に連絡しようとして、最悪なことに電池切れなことに気づく。
(…今から用意して20分、みやび荘から学校まで5分、おおよそ30分)
夢ノ内高校は8時半には教室に着席しておかなければならず、そこから8時50分までホームルーム兼休み時間、授業は9時からである。休憩時間は10分で授業は50分。
そうして考えるならば、鼓が到着するのは11時つまり3間目の始まる時刻だ。
「……もう、いいや」
考えるために頭だけ起こしていた鼓だったが、そう呟いて頭をぼふんと床に戻した。
今まで鼓は多少体調が悪くても休んだことはなかった。休めばその分授業中に課された課題を誰かに聞かなければならなくなる。
しかし聞いたところで答えない輩、聞いても嘘をつく意地の悪い輩がいることは重々承知していたためそれなら休まなければいいと考えたのだ。
だが今現在そのような人はおらずむしろ休めば必ず教えてくれるであろう古木がいるため休むことを決意した。
とりあえず連絡はしなければ、といつだったか遼介からもらったポータブル充電器を鞄から取り出し携帯に差し込む。
少しすると電源がつき――おびたたしい数の着信とメッセージが来ていた。
思わず顔を歪め、古木からのメッセージの1つを開いてみる。とにかく連絡をくれという内容ばかりで、最後の方は泣いている蜂のスタンプが大量に押されていた。
(…電話した方がいいよな……)
しかし気乗りがしない。というか今誰とも話したくない。
鼓はメッセージに返信だけすることにした。
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