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真犯人 1

鼓が玄関を開けたると一人の男子生徒がそこにいた。鼓と同じくらいの背丈で、少し幼なげな顔立ちの彼は驚いた顔をしていた。そして数分間沈黙が続く。 「え、あの」 沈黙に耐え切れず先に鼓が口を開いた。 「まさか本当に開けてくれるなんて思ってもみなかった!」 男子生徒は呆けていたが、次の瞬間顔を輝かせてそう言った。その言葉で鼓はこの生徒がチャットの相手だと瞬時に気づく。 咄嗟にドアを閉めようとしたが時既に遅く彼は玄関に一歩足を踏み入れていた。いくらなんでも体が半分入っている状態で閉めるのは…しかしそこは鼓、特に何も考えずドアノブを引く。もちろん男子生徒は半分の状態で挟まれた。 「イタタタタタタタ!!ちょっと、横暴!!」 「知らない人は部屋にあげちゃいけないって過去から学んでるので…」 「じゃあ人を傷つけちゃいけませんって過去に学校で習わなかったの?!」 「人だったんですか?????」 「酷くないかなぁ!!誰だよ君にに教育した奴!見てみたいよ!」 「父です」 「親かよ!!!!ってかマジで一旦ドア開いて、僕縦に真っ二つになっちゃう!」 「知らなーい」 「可愛く言うな!!!!」 (恐ろしいことに)数分の攻防の(のち)、鼓はようやくドアを開けた。男子生徒は痛そうに腹あたりをさすっている。 「どうやってここまできたんですか」 警戒しながらそう問う。ここまでは厳重なセキュリティーがひかれているはずだ。監視カメラもありそうそう“普通の生徒”は入れないはずである。みやび荘にいるのは遼介含め三人。部屋数は5部屋あるものの、後の2部屋は現在使われていない。 さらに今現在鼓は退路は断たれ万事休すだ。携帯は壊れているし玄関にはよくわからない人、ここは5階だから窓から逃げることもできない。 「賄賂」 (くそ共が……!!) つまり管理人と警備員にお金を渡して入れてもらったという事なのだろう。 「単刀直入に言おう!本棚の真犯人は何を隠そう僕なのだ!」 「窓から落とされるのと窓から蹴落とされるのどっちが好きですか?」 「話聞いてぇええ」 (話聞く必要ないと思うんだけど) 足に縋り付いてくるに鼓は冷たい視線を浴びせた。

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