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おかえりなさい、怒らないで 7

Side 鼓 自分で言うのもあれけど、性格良くないのは知っている。人前ではちゃんと話すけど腹の中は真っ黒だし、実は口悪いし。その代わり、黙っていれば容姿はよく褒められた。……けれど、どんなに外見を褒められようとそれは俺の自信にはならなかった。容姿が素晴らしいことはただの"認識"にすぎなかったから。 遼介と付き合う前から、この学校でも何人かに告白されていた。みんな綺麗だの美しいだの、中身はどうだっていいだの言ってきて。 俺としては外見より中身が素敵だよって言われた方が嬉しいし……好きと言われても、信じられなかった。だって中身はどうでも良いって言う割に俺が少しでも悪態をつくと、想像と違うとかなんとか言って離れていく。 それに、昔言われた言葉が呪いのように未だに付きまとうから…。どんなに忘れようとしても、影のようにぴったりくっついて離れない。 愛して欲しい、でも愛してくれる人なんていない。 そんな苦渋の波に飲まれて死にそうだった。 遼介は、俺を異常なまでに愛してくれていた。世間一般的には変態だと呼ばれるその行為も俺にとっては安心材料になる。……たまに本気で大丈夫?って聞きたくなることあるけど。 それでもどこかで離れなきゃいけない、どうせ要らなくなるって思いは消えなくて。愛されてるって分かってるのに、自分の事が信じられないから…遼介を信じたいのに信じられなくて。 だから俺は、最初から別れる気でいたら楽だって思うことにしてしまったんだ。俺はいつでも別れられる、辛くても仕方ない、最初から諦めをつけていればそこまで傷は深くならない。 それに今回の件で、俺が遼介の近くにいると遼介が被害を被ることが分かった。だから余計に、離れないとって感じたんだ。 すごく、自分勝手だとは思うけど…それが俺にとっての最善だった……。 心の内を話終えると、遼介は無言で。 やっぱり怒ってるんだろうな…。だってこんな話俺が遼介ならすごく怒る。俺が鼓に何度も愛してるって言ったのは無駄だったのかって。それに自分勝手すぎるって。 ちらりと遼介を見るも、豆球の暗さでは表情まで分からない。それにメガネも付けていないから余計にぼやけてる。 どれくらい経ったか、時間の感覚がなくなってきた頃。なんとなく遼介の口が動いたのが分かった。 どんな罵詈雑言でも受け止めようときゅっと目を閉じる。ついでにぎゅっと手も握りしめる。 「つーくん、セックスしよっか」 「……………………は???????」 俺は遼介を初めて殴りたいと思った。 Side鼓 了

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