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おかえりなさい、怒らないで 8

「まあ今のは冗談として」 まじの目してましたけど???と鼓は問い質したいのを我慢した。ついでに握りしめ振り上げていた手も、降ろした。 本気で殴る気だったらしい。 「今の話聞いて思ったのが、なんだそんなことか、ってこと」 「なっ」 遼介があっさりと言ってのけたため、憤慨した鼓は起き上がった。暗がりでも微笑んでいるのがわかる遼介を睨みつける。 自分がこんなにも悩んでようやくいま吐露した事が、そんなことかで片付けられてはただの悩み損というものだ。 「そんなことって!!!俺にとってはっ」 「うん、つーくんにとってはすごく大きい悩みなんだよね」 遼介は腹に置いた腕を使い、鼓に寝転がるように促す。鼓は渋々それに従い横になった。今度は遼介の方を向いて横になる。 いい子、と遼介はそのまま鼓を胸に(いだ)き込んだ。もう片方の手は腕枕のために鼓の頭の下に置く。 「わかってるよ、でも、俺にしたら"そんなこと"なんだ。鼓が信じられないと言うなら、自分に自信が無いと言うなら―― 俺が、何度でも鼓に、言えばいい。鼓は俺に全部愛されてるって」 「――――、」 「自信が着くまでそう言い続ける。鼓がどんな性格だろうと、どんな容姿だろうと、俺は鼓を愛し続けるから」 「……ぁ…」 すとん、と鼓の胸に何かが落ちてきた。 鼓は目を見開き頭をはね上げ、腕の中から遼介を見上げた。遼介もこちらを見つめている。 「りょうすけ」 「ん?」 「ずっと、一緒に居てくれるの?」 「当たり前。俺は鼓を愛してるからね」 呆けた顔をした鼓の額に、遼介はキスをひとつ落とす。 (……悩みが、消えていく。たしかに、俺の悩みって…そんなことかで済まされる程だったんだ。俺は遼介に愛し続けてもらえるか、ただそれが不安だったんだ) 自分の中でパズルのようにピースが組み合わさって行く。 そのパズルが完成した時、遼介はそれを察したかのように1つ聞いてきた。 「鼓、俺と別れたい?」 「っ、やだ、いやだ!!!俺、遼介と別れたくない!ずっと一緒に居たいっ」 「うん、…よかった」 安心したように遼介はそう呟いて、今度は鼓の唇にそっとキスを施した。 2人は初めてをした。 「さてつーくん、寝ようか」 「…あの、一つだけ聞きたいことが。さっきのセ…っは何だったんですか」 「いや、肉体関係結べば少しは安心してくれるかなって」 「サイテー。変態。肉体関係とか、まだ先です」 「……そのうち、だね」 「ばか」

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