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帰ってきた日常 1

二人が丸く収まった次の日から、事態は急速に収束していった。まず遼介によってもう一度学校に監査が入り、鼓に害を為す人は追い出されるもしくは次はないぞというイエローカードが渡されるなどの対応が行われた。 実行犯はもちろん退学。鼓云々関係なく、氷川家の跡取りに怪我をさせたと言うことで今後表に出てくることはないだろう。 責任感を感じて謝罪をしにきた彼は園田といい、鼓もあまり彼に怒っている様子ではないため厳重注意だけとなった。彼は普通の家に生まれた本当に普通の生徒なため、ある意味命拾いをした。 また鼓はこれまでの食生活や危機感のなさを遼介にこっ酷く叱られ、それがかなり(こた)えたのか、部屋に籠って一日ほど出てこなかった。叱った方の遼介が焦るという奇妙な状況の出来上がり。 そして遼介が昏睡状態に陥っている間に生徒会の仕事は山積みになり(主に詩帆が放棄していた分)、遼介が『もう一回寝てしまいたい…』と倒れかける事件もあった。もちろん詩帆は隆盛に説教を食らった。 そしていつも通りの日常が帰ってきた。そう、いつも通りの……。 「つーくん今日のご飯なぁに?」 「唐揚げとポテトとオムライスとスープカレーと――」 「うん、俺はオムライスだけでいいかな」 「あーん、しますか…?」 「つーくんがいいならして欲しいかな…」 「こんな日常帰ってきてたまるかぁぁぁぁ!!」 叫んだのは古木だ。 今は昼時。鼓は遼介の膝の上に乗り机の上に“重箱”を広げていた。その隣には、スープジャーが二つ並んでいる。そして今ちょうど鼓があーんを決行しようとしていた。 甘ったるい雰囲気を撒き散らす「いつもの日常」が帰ってきたのだった。 「俺の前でする意味ある?!俺に発狂しろと?!」 「古木、大丈夫?疲れてるの…?」 「原因お前だろぉぉぉ!」 頭を掻きむしりながら古木は自分の机に倒れ込んだ。非常に痛そうである。それは鼓も思ったのか顔を顰めていた。 「俺さ、氷川先輩が目を覚ましたのも涼川がちゃんと飯食って元の生活に戻ったのも嬉しいけど…けど、それとこれとは話別じゃん…なんだよこの甘々な雰囲気…」 「うるさいな腐男子、喜べよ。目の前で見れて最高だろ」 「そうですねありがとうございます!でも俺だって胸焼けすることもあるんだよ!!」 (注文が多い) (注文が多い) 鼓と遼介は同時に同じことを思った。

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