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夏休み 20

洗い物は俺が!と鼓。洗い物くらいさせてよと遼介。 両者1歩も譲らず、2人はキッチンに備え付けの食洗機があるのに気づくまでずっと戦っていた。 気づいたあと2人は今の戦いは何だったんだろうと笑いあった。 食後はリビングのソファーに座り、風呂が沸くまで時間を潰すとこにした。 遼介は携帯の暇つぶしゲームを開いている。鼓はそれをじーっと見ていて、視線に気づいた遼介がつーくんって携帯ゲームしないね、と言った。 「よく分からないから放置してるだけです。まあ元々ゲームしない性格なんですけど」 取り出した携帯と遼介の携帯を見比べる。よくよく見れば、遼介の携帯は壁紙が鼓の寝顔だった。 (…ツッコまないほうがいい?) 「このつーくんかわいいよねぇ」 (自分から言ってきた) スルーしてアプリを見てみる。鼓の携帯にはメッセージアプリや電話帳、カメラやアルバムなど初期から変わっていない。 対して遼介はいくつか暇つぶしアプリの他に"カメラ"と書かれたフォルダや"その他"などのフォルダがあった。 (カメラ、無音カメラとか遠隔カメラだよね) 鼓ももう分かってきているので聞かなかった。 遼介の携帯のアプリを指さしながら、こういうアプリってどこから入れてくるんですか?と聞く。遼介は自分の携帯の画面を動かしてストアを見せた。 「ここ」 「あ、これストアなんですね」 そうそう、と遼介は指を滑らせて検索欄を開く。鼓も同じように動かす。 「例えばここに、動物って打つと…」 検索結果に動物の育成ゲームが候補に上がる。鼓は目を輝かせてすごいと呟いた。そして自分も検索欄にクラゲやウーパールーパーと打ち込んだ。珍しいセレクトだ。 「つーくんクラゲ好きなの?」 「水族館とかでぼーっと見てるのが好きですね。癒されます」 遼介は次回のデートプランに水族館を候補に入れた。可愛い鼓のためならいくらでも。 色々見ていく中で鼓はいくつか気に入ったものがあったらしく、さっそくダウンロードをかけている。 「遼介、チンアナゴがあります」 「へえ、珍しいね」 鼓が遼介に見せた画面にはチンアナゴ育成と書かれていて、数匹のチンアナゴの写真も載せられている。育成と書いてあるが水を変えたり餌をやるくらいで、どちらかというと飼育に近い。 写真にあるオレンジ色のチンアナゴを見て遼介はふと思い出した。 「でもこのオレンジ色のやつってチンアナゴじゃないらしいよ」 え?と驚いて鼓は遼介を振り返った。深い青色の目が期待と興奮でキラキラしている。知識を欲する鼓の顔は非常にイキイキしている。

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