409 / 437
閑話:名前
数日投稿できずすみません
もう少しかかりそうなので閑話置いておきます
閑話:鼓の名前の由来
眞白は7ヶ月に入りそれなりに膨れた自分の腹部を見て優しく撫でた。
「ねえ、ジャン。名前は何がいいかしら」
珍しくジャンは家で仕事をこなしており、ソファーでパソコンを見ていた。
返事が返ってくるとは、思っていない。彼は仕事が1番だと眞白は身をもって経験しているからだ。
「……太鼓」
「え?」
ぼそりと呟かた言葉に反応する。まさか、名前?
「春に祭りが、あるでしょう」
「え、ええ…」
眞白たちが住むこの場所では、地域特有の小さな春祭りが行われる。小規模だがそれなりに賑やかだ。
和太鼓を使ってなされる舞は煌びやかで美しく、そこそこ有名だった。
「春祭りの、太鼓の音のように……伸びやかに生きて欲しい、だから鼓と」
「………鼓」
もう離婚調停は済んでいて、子供が産まれればすぐに……。それなのに、ジャンのたまに見せる優しさに心が痛んだ。
愛していない訳では無い、好きだからこそ離れるのだ。これ以上相手を恨みたくないから…。
「……いい名前ね」
「…ありがとう、眞白」
2人は目を合わせることなく、礼を言い合った。
ともだちにシェアしよう!