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閑話:キス

いつもながら更新が滞りすみません そろそろ皆様甘いものが食べたいと思いますので、チョコレートに練乳を掛けたもの(?)を提供します 閑話:キス 「や、」 「逃げないの」 鼓が腰を引いて逃げようとするのを、遼介は許さない。 場所は校舎裏、授業をさぼっていた遼介を見つけた鼓が注意しに来たのが事の発端。 遼介はたまに授業をサボる癖がある。理由は様々だが、その時の理由は"何となくやる気が出ないから"だった。 教師に『体調が悪いので保健室行ってきます』とわざわざ嘘をついてまで来たのに。彼の馬鹿らしい理由を聞いた鼓はため息をついて、どうしたらやる気出るんですか、と遼介を責めた。 それが運の尽き。 遼介はことも無さげにつーくんがちゅーしてくれたかなーと言い放った。 一瞬固まった鼓は、しかしすぐに再起動して顔を赤らめさせた。 そんなのだめです、いま授業中ですし、しかもそんないやらしいお願い…ともごもご喋る鼓を、遼介は壁際まで追い詰めた。 そして違う意味でヤル気になっちゃった、と口の端を上げ鼓に覆いかぶさったのだ。 鼓はもちろん、抵抗する。彼にとってまだキスは恥ずかしいものだ。…人前でわざとするのとは、また違う、甘いキス。 舌を入れ、上顎を擽ると鼓が甘い息を漏らした。 「っ、ふ」 「かわい」 逃げ腰の鼓を掻き抱く。遼介は何度か鼓に鼻で息をするんだよと教えているが、全く慣れず、それどころかいくらキスをしようと初々しいままだった。 かわいい、かわいい、と遼介は更に深く鼓を堪能する。 右手は逃げる腰を抱いて、左手は後頭部を抑えて…。鼓の目からは薄く涙が溢れていた。 「も、うやだ、遼介、ゃ」 「だめ、逃げんな」 「っ」 普段優しい言葉遣いの遼介にたまに強く言われるのが好きなのだと、鼓は最近知った。ドキッとする。 苦しさのあまり鼓は遼介のシャツの胸あたりを必死に掴んで耐える。気持ちい苦しい、気持ちい、死んじゃう…。 酸欠になりかけた頃にようやく遼介は鼓から離れて、ふふっと笑った。 鼓はぼんやりしていて、少し足が震えている。 「やる気でたよつーくん、ありがとう」 耳元でそっと囁けば、鼓は肩をびくつかせてとうとうへなへなと座り込んだ。 そして鼓は言い訳だったはずの保健室に本当に行くことになってしまったのだった。 了

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