424 / 437
閑話:ペットボトル
すみません、コロナで倒れてました
後遺症もだいぶよくなりました。お待たせしてしまい申し訳ありません。
本編があがるまで閑話をお楽しみください
閑話:ペットボトル
遼介は、俺のものを集めるのが大好きだ。使い終わったストローや割り箸。飲み終わったペットボトルや壊れかけのシャーペン。
何に使うの分からないそれらは、全て彼のコレクションになっているらしい。
収集は俺が遼介を認識する前から行われていたようだった。
度々物が勝手に綺麗になってるなーと思ってたけど、俺にはすとーかーという概念がなかったから何かの嫌がらせかと思い気にもとめてなかった。
昼休み。案外需要のある校内の自販機で飲み物を買って、中庭で遼介、古木、野沢先輩、柴先輩、つまりイツメンで飲んでいた。
遼介はお茶、野沢先輩は紙パックのオレンジジュース、柴先輩は抹茶ラテ、古木は貝入り味噌汁?を飲んでいる。俺は炭酸水。
柴先輩が抹茶なのは想像つくけど、ラテなのは意外だなーと思いながら飲んでて、ふと遼介の収集癖を思い出した。
だから、ペットボトルから口を離してなんとなく聞いてみた。
「遼介」
「ん?」
「ペットボトルいる?」
「ごごぶっ」
吹き出したのは野沢先輩。遼介は固まっている。
「あああのね鼓くん、そういうのは2人きりの時にしてくれないかな?こういうとこで言うのはやめとこ?!」
「え、あ、はい。それで遼介、ペットボトルいる?」
「ねえ話聞いてた?!」
騒ぐ野沢先輩、いつもならうるさいって言いそうな遼介は固まっている。あれ、喜ぶと思ったのに。
「遼介?」
「ぁ…ありがとうございます」
何故敬語。
ようやっと口を開いた遼介は俺に深々とお辞儀をし、ペットボトルを大事そうに掲げた。なにこれ。
「困ってる涼川におれが解説しよう!」
「え、なにうざ」
「おれの扱いもうちょっとあるよな?!」
突然横入りしてきた古木を睨みつけたけど、この行動の意味を知りたかったからとりあえず先を促した。
「ストーカーとはつまり相手のことが好きすぎるが故な行う行為である!たまにニュースで見ない?アイドルにストーカー行為をして捕まる奴。あれは愛なのだ!例外あるけど…。まあつまり、氷川先輩にとって鼓はアイドル的な存在!そのアイドルに私物を渡してもらえるなんて最高の行為なのだよ!」
口調うざいな、という胸の内は置いといてそうなんだなと納得する。たしかに憧れの存在から物を貰えるのは嬉しい事だ。
ようやくお辞儀をやめた遼介はいつも以上に満面の笑みで、ありがとうともう一度お礼を言ってきた。なんかただの飲みかけペットボトルなのにこれだけ喜ばれると、いたたまれない。
「つーくんは、俺を救ってくれた恩人だから。アイドルより、もっと上の存在だよ」
「すくって…?俺、遼介に何かしましたっけ」
「……うん、実は俺は結構前につーくんと出会ってるんだよ」
え、どういうことですか、と口を開こうとして、古木が課題忘れてた!と叫んだため会話終了。
古木は野沢先輩に泣きついたけど、柴先輩がこいつじゃ無理だと言い、野沢先輩が怒る。
いつも通りの光景に笑ってしまい、聞きそびれてしまった。
あとで古木シめる。
ともだちにシェアしよう!