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夏祭り 9

ふと目を覚ますと、遼介が鼓の浴衣を肌けさせていた。 「なにして…」 「…目覚めちゃった?」 鼓の頬を撫で微笑む遼介。なにしてるんだろう、なにされてるんだろう、と寝ぼけなまこで体を起こす。暗い部屋、小さい頃に買ってもらった枕元のランプだけが灯りとして煌々と着いていた。 さっきまで祭りに行ってたはず…それで、遼介におんぶしてもらって、寝ちゃって…あれ、それからどうしたんだっけ。 足元を見れば、両足の親指と人差し指の間に絆創膏が貼られていた。 それをぼんやりと眺めていると、遼介が鼓の体を優しく押し倒す。 「りょ、すけ」 するの?という言葉は、キスでかき消された。まだ心の準備が出来ていない。というか体の準備すら出来ていない。 さすがの鼓も、男とする方法は知っていた。けれども今はそれが一切できていない状態だった。風呂に入っていないし、綺麗にしていないし、その…穴も拡げられていない。 (さすがに風呂には入りたい…) しかしキスはどんどん深くなっていく一方。 「ん、ふ、……ま、って、りょうすけ…っ」 「風呂に入りたい?」 言い当てられて、そう、うん、と頷く。でも遼介は鼓から体を離すと、だめ、と笑った。どうして。 「どうしてって顔してる…。答えは簡単、鼓の匂いが好きだから」 「でも、きたない…」 「鼓に汚い部分なんてないよ。ほら、口開けて」 「ゃ…」 こうしてキスをしていると、体育祭の後に口淫されたことを思い出す。あれはとても、とても恥ずかしくて…気持ちよかった。またあれされるのかな、と思うと鼓は心臓が跳ねるのを感じた。 優しく唇があわさり、舌が口に入ってくる。んんん、と顔を背けようとしたけど、だめと言わんばかりに顎を固定された。 苦しい、気持ちいい、苦しい、気持ちいい…交互にくる感情に、鼓の頭がとろんと溶け始める。 「はっ、あぅ…」 肌けさせられた胸の尖りを指でそっと抓られる。感じないはずのそこが、じくりと疼いた。 なんだかそれがとても恥ずかしいことのように思えて、鼓は体をくねらせ嫌がった。 「だ、だめ…だめ、遼介」 「なんで。気持ちいいんでしょ、これ」 「なんか、だめ…」 なんかって、なに?と耳元で囁かれる。普段は耳なんて触られても何も感じないのに、こうして囁かれるとびくりと体を跳ね上げさせてしまう。 体全てが性感帯になったようだ。 「ひぁっ」 油断していると遼介がまた乳首をいじってきた。くにくに、といじられると声が出る。そんな自分の声が嫌で、鼓は口を手で塞いだ。

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