444 / 460

はじめて 1

やだ。と体をよじらせれば遼介がくすくすと笑うのが聞こえた。 せめてもの抵抗で枕もとの電気を消してやる。 「あ。こら」 怒られて、すぐに電気をつけられてしまう。浮かび上がる遼介の顔は真剣そのもので、鼓は抵抗することがいけないことのように感じた。 だって、こんな恥ずかしいこと、したことない。 鼓は”一応”抵抗を諦めて、けれども顔を腕で覆って顔を見せないようにした。つまり、遼介からも見えない。 遼介は一度いじる手を止めその行動にふむ、と悩んだ後、まぁいいよと言って許した。遼介は鼓だけには甘いのだ。無粋な話、もしこれが特に何の感情もない相手だった場合、遼介は容赦なく腕をはぎ取りキスをしていたことだろう。 鼓に、そんなことはしない。ただし、自分からはしない、というだけ。 遼介はそっと鼓の首元に顔を寄せると 「汗のにおい」 とからかうように言った。途端鼓が腕を顔から離し遼介を遠ざけるようにつっぱった。遼介は優しい、だが、いじわるだ。 「だっ、だから風呂にっ」 「はい捕まえた」 「あっ」 その両の腕を掴まれそのままベッドに縫い付けれられる。目の前に遼介の顔。 「鼓、最後の確認だよ」 「……はい」 「抱いていい?」 正面から言われると恥ずかしくて仕方がない。しかし、これは最後の確認だ。 (わかってる) このセックスの後、もう二度と鼓は逃げられなくなるだろう。遼介の腕から、世界から、なにもかもから。 それでもいいかという確認。 鼓は、ゆっくり頷いた。 「俺はもう、遼介のものだから…いいよ」 「鼓、愛してるよ」 遼介は鼓にキスをし、また行為をするため手を動かした。手を触り、腕を伝って脇に触れ、腰に手を這わせるとそっと下鼓の着を下した。性器にそっと触られると鼓の体がびくりと跳ねた。 「ん、」 「いただきます」 遼介が体を起こし鼓のそれを咥える。鼓は以前にされたアレを思い出しひゅっと息を吸い込んだ。 「やぁぁっ」 舌先で出口辺りをいじくりまわされ、鼓はめに涙が浮かぶのを感じる。 (これ、やっぱ、だめ!) すぐさま上半身を起こして口を離させようと遼介の頭を掴む。でも力の入っていない鼓の手では遼介は離れてくれず、鼓は泣き声と嬌声を上げながらベッドに倒れこんだ。 逃げようとする腰を、遼介が掴んで離さない。 「ひっ、あっ、やだ、遼介っ」 「はに?(なに?)」 「そこでしゃべらないでぇ!」 足を使って遼介を軽く蹴る。遼介は癖の悪い足だねと言ってさらに鼓の性器をじゅっと音が鳴るほど吸った。 「あああ」 鼓のそれが膨らむ。今回は早そうだななどと遼介が思いながら口を前後に動かすと、すぐに青臭い液体が口腔に広がった。

ともだちにシェアしよう!