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そんな顔しなくてもまた来るよ 1
「起きれない」
「はい」
「腰痛い」
「…はい」
「身体だるい」
「……はい。大変申し訳ございません」
寝そべる鼓の目の前には、土下座する遼介がいる。何故こうなったのか。答えは簡単、昨晩遼介が鼓を無理させたからである。
あの後2人は5回ほど事を致し、最後の方には鼓は何も出なくなっていた。それでも遼介はそんな鼓の体を一晩中いじくり回して、鼓を何度も泣かせた。基 、啼かせた。
そうして朝。鼓は動く事も立つ事も出来ず、布団に包まっている。遼介は申し訳なさから土下座をしていた。
「ばか遼介」
「はい、まじすみません…」
「……今日は遼介がお世話して」
「も、勿論でございます!」
遼介がガバッと顔を上げると、鼓が布団を目元まで引き上るところだった。頬が、少し赤い。
(恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!)
ツン、とした態度を取っているが実際はただの照れ隠しである。鼓はふとした瞬間に昨夜のことを思い出しては叫び出しそうになるのを堪えていた。
鼓はふんと鼻を鳴らすともぞもぞと布団に潜っていく。
「ご飯はどういたしましょうつーくん」
「父さんがリビングにブラックカード置いてるはずだからそれ使ってなんか注文して」
基本鼓の家にはお手伝いさんというのはいない。それはジャンがあまり人を家に入れたくないと思っているのと、そもそも鼓が料理ができるためである。
そのためジャンが外にいる時はジャンが置いていくカードを使うか、鼓が料理しているかの2択なのだ。
今回は鼓が動けないためカードを使うことになる。
「何を注文しましょうか」
「ピザ、フライドチキン、…あと寿司食いたい」
「畏まりました」
遼介は立ち上がると恭しく礼をし、部屋を出ていった。ガチャン、と扉が閉まる音がすると、鼓は布団からもぞ、と這い出た。
「ばーか」
閉まった扉に向かってそう言う。鼓はゆっくり起き上がると床に足をつけた。そのまま立ち上がろうと足に力を込めるが…ぱたん、と床に倒れてしまう。
「〜〜!!」
それが昨日の行為のせいだと思い出してしまえば、顔は茹でたこのように赤くなる。
(ばかばかばか!ばか遼介!)
ベッドに戻ろうと肩肘をベッドに乗せて動いてみるが、足が動かないため断念した。
「つーくん、ピザは何がいい……って、大丈夫?!」
電話を手にした遼介が慌てて鼓に駆け寄る。鼓はギロリと遼介を睨んだ後、両手を広げ「だっこ」と頬をふくらませながら言った。
遼介が鼻血を出したのは言うまでもないだろう。
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