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第8話 意外な一面

  真夜中の3時だというのにその病室は人で溢れ、   皆、満面の笑みを浮かべていた。   皆の注目の的は、生まれたばかりの我が子を   胸に抱き柔らかく微笑んでいる、   エレン(ネル)とそのパートナー・ステファニー   (ステフ)がいた。   女性同士のレズビアンカップルだ。   (注略:アメリカの最高裁で同性婚が合憲だという    判決が下されたのは、2015年6月26日)     息せき切って現れた柊らに一同は道を空けた。   初めて、我が子   (と言っても、精子を提供しただけだが)   との対面に相好を崩す柊。 『フフフ……女の子よ。ど~お? 抱いてみる?』 『いい、のか?』   ネルからそうっと赤ん坊を差し出された柊に、   すかさずステフが忠告する。 『落とさないでよ』 『分かってるよ……わぉ、軽いなぁ……ハ~イ、  お前のパパだぞー』   赤ん坊を自分の腕に柊が抱いた瞬間を、   松浪がカメラでパチリ。 『―― 2800グラム。初産の割りには安産  だったって』 『で、名前は?』 『ん~ ―― 私はおばあちゃんからもらって  ”キャサリン”がいいって言ったんだけど。  ステフは”マーガレット”がいいって』 『キャスにマギーかぁ ―― 両方いい感じだな……  おーいプリンセス、お前はどっちがいい?』   そうやって我が子を見つめる柊の表情は   慈愛と温かさに満ちていた……。          ***  ***  ***        赤ん坊と出産直後の母親を気遣って、   早々に病室を後にした柊・ジェイク・松浪の   3人は同じ道を辿って帰路につく。   但し、今度の運転役は松浪で。   柊とジェイクは2人仲良く後部座席に落ち着き、   まるで松浪へ魅せつけるようイチャイチャ ――。   松浪は憮然とした表情で、   フロントグラス越しに柊を見ながら。 「あー、キミ、ジョン、って言ったっけ?」 「ジェイクだ」 「**辺りで落とすけど ――」 「落とすってなんだよ~。もちろんジェイクはオレと  一緒に帰るよなー?」 「……う、うん」 「ほ~らな。だから、まっすぐオレのアパートに  行ってくれ」 「オレはお前らのドライバーじゃねぇぞ」   松浪の小言も何のその、柊はジェイクにキスをして   ゆっくりその顔を下部へ。   松浪は”?@!”と我が目を疑う。   布ズレ音が微かにして、   ジェイクが小さく甘い声を漏らす。 「慎之介……っ、てめぇ、いい加減にしろよ……」 『フフフ……この、ヤキモチ焼きぃ』   ジェイクの股間に顔を伏せた柊が   何をやっているか?   は、読者の皆さんのご想像にお任せ致します。 「…………」

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