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第14話 大地との初めて出逢い
(突然ですが、
この場面から”大地”視点も入ります)
僕の住んでいる学区には東西南北
(イースト・ウエスト・サウス・ノース)
四つの公立高校(ハイスクール)がある。
東と西は家柄が良くて頭も良い奴らが通う
超進学校。
特に東高はシカゴでもレベルが高い。
対する南北はPunk(落ちこぼれ)の集まり。
校内の壁という壁には卑猥な文字の落書きや
スプレーアートで埋め尽くされているし、
大体、1日に少なくとも3~4人は喧嘩の
事情聴取で校長室に連れて行かれる。
日本の学校なら信じられない事かも知れないが、
アメリカの学校では(私立・公立問わず)
不測の事態にも即対応出来るようにと、
市警察・州警察の現職警察官が学校内に
随時2名は常駐している。
”シカゴ・ノースハイスクール”は
この学区内にある公立校の中で一番後に創立された
(つまり一番新しい)学校なのに、故意損壊による
破損の度合いが著しく ――
”補助金不足・寄付金不足””直しても、直しても
破損箇所が後を絶たない”等などの理由から、
割れた窓ガラスや破損箇所が補修された事はない。
喧嘩も不純異性(同性)交遊も日常茶飯事。
だから保健室のベッドはいつも使用中だし、
昼休み中のトイレもそういう目的で使われる。
えっ、僕がどこに通ってるかって?
東……のハズねーじゃん!
半年前まで西校に通っていたが、校風に合わなくて
ちょっと前、うちから一番近い北校へ転校した……
(させられた)。
……なのにオレは今、東高へ向かってる。
何故かって?
それは……憧れの都村さんと一緒に帰宅する
為だ。
ジェイコブ・都村さん。
僕の大恩人にして、僕のアニキ分!
も~、サイコーに男気があるっつーか、
超・超クールな人なんだぁ!
な、何と! その都村さんが我が家で
居候する事になった。
一体どういった状況でそうなったのか?
の説明は割愛するが。
それ以来、僕は大して行きたくもない学校へも
比較的真面目に通っている。
*** *** ***
あれは今から2ヶ月前。
街ん中ぶらぶらしてたら、
南高の奴らとバッタリ出くわしちまって。
4つの学校はいっつもケンカばっかしてる……
いわゆる犬猿の仲なんだけど。
その時は僕1人に向こう3人で。
多勢に無勢。
もち向こうはラッキーと思ったみたい、
予想通り難癖つけてきて。
僕はあっとゆー間に路地裏に連れ込まれて、
ボコられてたワケ。
そこに偶然通り掛かったのが、都村さん!
『……そこ、通らせてくんない?』
薄暗い路地に入ってきた黒髪の青年は、
リンチ現場に出くわしたとは思えない
淡々とした口調で言った。
『はぁっ? ―― オマエその制服、東高か……
悪いこたぁ言わねぇ、お坊ちゃまは早く帰って
ママのおっぱいしゃぶっておねんねしな』
『そーそー、早く帰らねーとお前もまとめて
ヤッちゃうよー』
『あ、帰る前に迷惑料払ってってね~。払わないと
そのおキレーなツラに2度と消えないアザ
出来ちゃうよ。コイツみたいに』
南高の奴らは散々ボコられて壁際に倒れ込んでた
僕を指差しながら、東高の奴をカツアゲしようと
その周りを囲む。
南高のヤツらに囲まれたそいつは微動だにしない。
つーかまぁ、東高の奴なんてケンカなんかした事も
なさそうだし、ビビって動けねーんだと思った。
ところがその直後 ――!
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