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第16話

  ジェイクが乗ったばかりのタクシーから   すぐに降りて、たった今タクシーで通過した   交差点まで引き返したのは ――。   (えっと、確か……あの路地、だったな)   うろ覚えだが、だいたいの記憶を頼りにその路地へ   行けば ―― やっぱりいました。   初めて会った時のよう、3人組の上級生らに   囲まれ、無理矢理フェ*をやらされている大地が。   ジェイクが慌ててタクシーから降りたのは、   あの3人組に大地が路地へ引きずり込まれるのを   目撃したからなのだ。   ”剣道三倍段”というが、剣がなくてもジェイクは   滅法強かった。   ジェイクと大地が去った後の路地には、無謀にも   ジェイクに歯向かった3人組の無残にボコられた   姿が横たわっているだけだった。 ***  ***  ***   ”ループ”の愛称で親しまれている高架鉄道の   環状線の**駅へ向かう途中も、   ジェイクと並んで歩く大地のヘラヘラ笑い   は止まらなかった。   何気にムカついて大地の後頭部を平手で   引っ叩(ぱた)いても、相変わらずヘラヘラ笑い   ながら「痛いなぁ、何するんですかー」と   ジェイクから気にかけられているのが、よほど   嬉しい様子。 「……あのさ」 「ん? なに なに?」 「……お前が不登校してたのって、ああゆう奴らが  いたからなのか?」 「ん~、それもあるけど、がっこの勉強って自分の  体質に合ってないような気がしてさ」 「あー? マジお前って変だな」 「えーっ、変、ですかねぇ? でも、ジェイに言われた  から、義務教育終えるまではちゃんとがっこに  行くよ」   アメリカの義務教育は高校(ハイスクール)   までです。   ついでに言うと、その州の自治体によってまちまち   ですが、ほとんどの都市(町)で公立学校の学費は   国の全額負担になっています。 「でも、義務教育までなのか」 「何か問題でも?」 「別にぃ ―― でも俺、挑む前から”自分はバカ  だから” とか言って怖気づいて、勝手に自分の限界  決めつけるような奴が一番気に食わない」 「!……僕がそうだって?」 「おっ。ムカついたか? じゃお前はやれるとこまで  やれよ。知識と教養はないっくらあっても邪魔になる  って事はないんだ」 「……」 「どうせ同じ年を取るなら、老後は悠々自適に  過ごしたいだろ?」 「もーうっ。まだ僕たち10代なんだよ~。ジェイって  むっちゃ爺くさぁっ」 「何とでも言いなさい」   かくゆう自分だって、   あんまし偉そうな事は言えない。   この数ヶ月は不登校だ。   (俺も、そろそろ色んな意味でリセットしないと    ダメなのかなぁ……)

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