10 / 1096

第10話 告白 2-6

 片平の横に並び、心配げな表情で首を傾げる三島は、僕の目の前で手をひらひらと動かす。それに対し片平はいささか呆れた面持ちで息をついた。 「ええ? いつも以上だよ」  片平の言葉に三島は眉をひそめしゃがみ込むと、僕の顔を下から覗き込み目線を上げた。 「いや、悪い悪い。ちょっと考え事をしてた」  まるで大型犬がお座りしたような錯覚がして、頭を撫でてやると三島は不思議そうに小さく首を傾げた。 「考え事って、藤堂優哉?」  まるで独り言のようにぽつりと呟いた片平の言葉に、三島の癖毛をかき回していた手が思わず止まる。 「えっ?」  上擦った声を発しながら、僕はいつの間にか横に立っていた片平を振り返る。動かす首が油の切れたブリキのような、ひどく鈍い音がした気がする。

ともだちにシェアしよう!