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第15話 告白 3-5

 そう言って可愛らしく首を傾けた片平が、これまた可愛らしく片目をつむる。 「あ、ねぇ弥彦もう帰ろう。今日の晩ご飯はオムライス」  あ然としている僕などお構いなしの片平は三島の袖を小さく引いた。それに気づくと腕時計に視線を落とした三島が慌てた様子で立ち上がる。背の高い三島を思わず僕はつられるように見上げてしまう。 「そうだった! おばちゃんのオムライス。卵を買って帰らないと! 西やんまたね? 優哉のこと知りたかったらいつでも聞いて」 「あ? ああ」  嵐のように過ぎ去る二人の背中を視線で追いながら、呆気に取られたまま片手を上げた僕は瞬きを繰り返した。相変わらず登場も突然ならば去り際も突然だ。  けれどぴしゃりと閉じられた戸をしばらく見つめていると、再びそれが開く。 「……?」  不思議に思い首を捻れば、ひょっこりと片平が顔を出す。そして無言でこちらへ歩いてくると、満面の笑みを浮かべたまま僕の手を取り、薄っぺらなものをその上に乗せた。 「じゃあ、西岡先生、頑張って!」  わけもわからず目を丸くする僕などやはりお構いなしに、片平はそう言うと再び戸の向こうへ消えていった。 「なにを頑張る?」

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