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第18話 告白 4-2

 小さな独り言を呟き腕時計を確認すると、時刻はすでに二十一時を四十分と少し過ぎていた。名刺に書かれている通りだとすると、あと一時間ほどは営業しているようだが。いくらなんでも高級ホテルのレストランに一人で、しかも着古したスーツなどで入る勇気はない。  小さく唸りながら右往左往と少しうろうろしてから、僕はため息をついてホテルの前を通過し駅へと足を向けた。 「なにをやってるんだか」  自分の行動に失笑して思わず肩が落ちる。まったくどうしようもない。いい大人が年甲斐もなく生徒なんかに振り回されてどうするんだ。 「西岡先生?」  だがうな垂れわずかに丸まった背中を、聞き覚えのある声が呼び止めた。その突然の呼びかけに肩が大きく跳ね上がってしまう。 「……藤堂?」  恐る恐る振り向けば、驚き目を丸くした藤堂がそこに立っていた。 「どうしたんですか、こんなところで」  不思議そうに首を傾げる藤堂は制服姿だった。暗闇と柔らかい光の中で白いブレザーが際立つ。  うちの高校の制服は、それが着たいというためだけに選ぶ生徒がいるほど洒落ている。白のブレザーに淡いブルーグレーのズボン。えんじのネクタイがそれに映え、少し大人びて見える。正直、着る人間を選ぶ制服だが、藤堂は背も高くモデルのような体型なので、文句なしによく似合う。 「いや、それはこっちの台詞だぞ」  やや間を置いて我に返ると、僕は目の前の藤堂を窺うように目を細めた。 「ああ、実はここでバイトしてるんです」

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