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第19話 告白 4-3

「このホテルで?」  僕の問いに微笑んだ藤堂と、彼の指の先にあるホテルを見比べる。 「正しくはその中のレストランですけどね」  そう答えた藤堂に思わず頭を抑えた。  なるほど、そういうことか――いまようやく片平の言った頑張って、という言葉の意味がわかった。 「先生? 大丈夫ですか、具合でも」  最初から片平は僕と藤堂を学校外で引き合わせるつもりだったのだ。そして好奇心に誘われ、僕はまんまとその罠にはまってしまった。これは間違いなく片平に躍らされている。 「いや、大丈夫。具合は悪くない」 「そうですか。でも少し汗かいてますよ?」  身を屈め、心配げに覗き込んできた藤堂の顔が、視界いっぱいに広がる。その距離は小さな吐息がかかるほどに近い。思いのほか長い藤堂の睫毛が眼鏡越しに見える。瞬くその動きに思わず息を飲んだ。 「大丈夫ですか?」  固まってしまった僕を見て、藤堂は小さく笑う。そして汗ばんだ額に張り付いた僕の前髪を指先ですくう。  長い指。ほんの少し骨ばった男らしい、けれど綺麗な手だと思った。じっとその手を見ていると、それは次第に髪を梳くように後ろへ流れていく。

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