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第20話 告白 4-4

「先生の髪って柔らかいですね。すごく猫っ毛でさらさらしていて気持ちいい」  その声にはっとして我に返れば、藤堂が笑いを堪えるような顔をして目を細める。  すると僕の身体は反射的に一歩後ろへ下がっていた。そんな僕をじっと見つめる藤堂の指先が、名残惜しそうに毛先を追いながらも離れていく。 「帰るんですよね? 帰りは地下鉄ですか?」 「あ、いや違う」 「そうですか、それなら駅まで一緒してもいいですか?」 「あ、ああ」  なぜだか急に恥ずかしいくらいに頬が熱くなって、それを悟られまいと俯き答えれば、微かに藤堂が笑った気配を感じた。  ここまで年下に翻弄されている自分が恨めしい。 「今度お休みの日にでもうちの店に来てください。ランチくらいならご馳走しますよ」 「え? いや、ちゃんと払うし行くよ」  並び歩く藤堂を見上げれば、彼は至極嬉しそうに笑みを浮かべる。 「……大丈夫です。ちょっと実験体になってもらいたいので」 「じ、実験体ってなんだ」  さらりとそう言って笑う藤堂から、思わず逃げるように後ろへ一歩下がる。すると軽く片目をつむり、今度は楽しげな表情を浮かべた。

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