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第21話 告白 4-5

「そんなに引かないでください。冗談です。実験じゃなくて、試験的に俺がランチの新しいメニューに携わる機会があるので、その時に先生の意見をもらえたらいいなと思って」 「新しいメニュー?」 「ええ、俺が作った料理を食べてくれます?」 「藤堂って、もしかしてそういうの目指してる?」  思いがけない言葉に目を見開けば、藤堂はますます笑みを深くする。 「一年の時からあそこでお世話になっていて、最近は新メニュー作りにも参加させてもらってるんです。いつか自分の店を持てるようになったらいいなって思ってます」 「そうか」  バイト先の話をしている藤堂は楽しそうというより幸せそうだ。そこからウキウキしたような感情が伝わる。なんだか普段の落ち着いた雰囲気とは違って、少し子供らしくて可愛い。 「先生? どうかしました?」  ふいに藤堂が不思議そうな顔で僕のほうへ振り返る。急に静かになった僕を怪訝に思ったのだろう。 「あ、いやなんでもない」  藤堂の声で我に返った僕は、何度も首を横に振り笑ってその場を誤魔化した。横顔に見入ってたなんて恥ずかしくて口が裂けても言えない。顔がいいって目に毒だ。 「もしかして、少しは俺のこと気になってくれました?」 「いや、違、う」

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