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第23話 告白 5-1
どうやら僕は普段の大人びた雰囲気と、少年らしい歳相応な表情のギャップに弱いようだ。彼がくるくると表情を変えるのを見ているとなんだか胸が騒ぐ。
「わかった、わかったからそんな恨めしい目で見るな!」
耐えきれず、手にしていた鞄から携帯電話を取り出せば、藤堂の顔は途端に花でも咲いたかのように眩しい笑顔に変わる。
「ありがとうございます」
こんな些細なことにも嬉しそうに顔を緩ませている年相応な藤堂の姿に、思わず吹き出すように笑ってしまう。
「けどメールとかマメじゃないし、電話もあんまりしないぞ」
「構いません。バイトが終わったらメールするので、もし時間がまた合いそうだったら返信してください」
「わかった」
なんだ、このくすぐったい感じ。なんとなく忘れてた気持ちが思い起こされるような。ちょっとじんわり胸が温かくなる。突然湧き上がった感情に少し戸惑ってしまう。
「先生……随分と可愛いストラップをつけてますね」
「ん? ああ、これな。ちょっと恥ずかしいんだけど」
細いチェーンとキラキラとした青い石が連なっている僕の携帯ストラップに、藤堂の指先が絡みつく。
「彼女?」
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