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第30話 告白 6-2

「え? いや、いい! いい、悪いから」  その言葉に慌てて首を振れば、藤堂は僕の腰かける椅子の背もたれと机に手を置き身を屈めた。途端に距離が近くなり覗き込むように顔を寄せられる。あまりの近さに身体が仰け反った。 「悪いと思うなら普段からちゃんと食べてください。身体を壊したらどうするんですか」 「うーん、わかってはいるんだけどなぁ」 「それはわかってないんです」 「う、うーん」  どれもこれも正論過ぎて言い返せない。それでもなにか言い訳はないかと頭を巡らすが、目の前で再び小さなため息をつかれる。 「無駄に考えないで頷いたほうが利口だと思います」 「な、なんでそこまでするんだ」 「愚問ですね。そんなの先生のことが気になって仕方ないからに決まってるじゃないですか」 「そんな恥ずかしいこと真顔で言うな」  冗談でもそんな理由は困るのだが、真剣に言われるとさらにどうしようもなくむず痒い。しかもなぜにこう、藤堂は甘い言葉をいとも容易く言ってしまえるのか。  今時の若者ってみんなこんなもんなのか? 自分には絶対無理だ。その前にそんな台詞は僕に似合わない。どん引きされて終わりだ。 「先生?」  急に黙り込んだ僕に藤堂はふいに眉を寄せる。

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