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第33話 告白 6-5
口を尖らせた片平に対し、ふぅんと小さく呟き藤堂はいまだ機嫌悪そうに髪をかき上げる。
「あずみだからな」
「やあね、今回は全面的にバックアップしてるじゃない」
「どうだか」
後ろ手に戸を閉めながらこちらへ歩み寄る片平と、元の椅子に腰かけ直す藤堂。二人のやり取りになぜか僕は首を傾げる。なんとなく感じる違和感。
「あずみの場合は面白がってるだけだろ」
「面白くなきゃ手伝ってあげないわよ。ね、先生」
じっと二人を見ているとふいに片平がこちらへ視線を投げる。そして僕を見てなぜか一瞬だけ驚いたように目を丸くし、その後にこりと笑った。
「先生ってほんとに鈍いのね。優哉、頑張らないとなかなか大変よ」
「うるさい、余計なお世話だ」
「まあ、いいけどね。じゃあ余計なお世話ついでにこれをあげる」
至極楽しそうに片平は口元に手を当てて笑い、ブレザーのポケットから取り出したものを藤堂に手渡す。
「先生に持ってきたんだけど、優哉も嫌いじゃないでしょ、こういうの」
片平に手渡された二枚の細長い紙に視線を落とし、藤堂は不思議そうに首を傾げた。
「月島渉、写真展?」
「あ、それ」
藤堂の手から一枚抜き取り、僕はそれをまじまじと見る。
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