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第34話 告白 6-6
「先生、もしかして好きなんですかその人」
「ん、あんまり個展とかやらないから、やるといつも観に行くんだ」
それは学生時代から好きだった写真家の個展招待券だった。最近はすっかりご無沙汰で全然チェックしていなかった。そういえば前に片平たちと部活の時間にこの話をした気がする。覚えていたのか。
ふと視線を持ち上げ片平を見ると、いつの間にか戸の隙間で手を振って部屋を出て行くところだった。
「おい、片平!」
「お邪魔さま。それ来週末で終わりだから二人でどうぞ」
そう言って片目をつむると、片平は満足げな表情で去っていった。
「相変わらず台風娘だなあいつは」
「ほんとですね」
重いため息をつき閉まった戸を見つめれば、急に疲れが押し寄せてくる。藤堂もまたそれに同意するように小さく息をついた。
「藤堂はこういうの興味あるか?」
「結構好きですよ」
藤堂の前で招待券を振って見せると、少し首を傾げてから藤堂は優しく笑う。
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