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第38話 接近 1-3
まただ、またざわりとする。この違和感のようなむずむずした感じが堪らなく嫌なのだ。こんな調子で今日一日、ずっと一緒にいられるだろうか。なにが原因なのかさっぱりわからないので対処のしようがない。
「そんなことより、先生。スーツも素敵ですけど、私服もいいですね」
「は?」
突然の言葉に、一瞬なにを言われているかわからなかった。でも改めて藤堂を見上げてその意味に合点がいった。
休日なのだから当たり前だが、藤堂はいつもの制服姿ではない。デニムにカットソー、それにジャケットを軽く羽織っただけのラフないでたち。背も高く男前な藤堂は、まるでどこかの雑誌から抜け出たかのようでとても目を引く。
天は二物も三物も与え過ぎだと思う。
大体、僕もジャケットがシャツに変わったくらいで、似たような格好しているはずなのだが、どうにも差を感じる。これはやはり着ている中身の問題なのか。
文句のつけどころが一つもない、完璧過ぎる容姿を思わずまじまじと見つめてしまう。
「お前、私服だと高校生には見えないな」
服装のせいだけでなく、藤堂は学校で会う印象とかなり違っていた。
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