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第43話 接近 2-2

「偏食な上に不規則過ぎるんですよ。着太りするタイプみたいですけど、結構痩せてますよ」 「か、家系だ。うちの家系なんだよ、痩せてんのは」 「だとしてもこのあいだ、抱きしめた時はさすがにちょっとびっくりしました。見た目以上に華奢で折れるかと思いました」  なに気なくさらりと言った藤堂の言葉で一瞬にして顔に熱が集中する。そしてあの日の夜、藤堂に抱きしめられたんだということを鮮明に思い出し、さらに頭がくらりとした。 「い、いくらなんでも折れるわけないだろ。一応気にしてるんだからそれ以上は言うな」  ため息交じりの藤堂をひと睨みして、いまだ握られている手を強く引く。 「いい加減、手を離せ」  触れられている自分の手のひらが変に汗ばんで気持ち悪い。明らかに顔を赤くさせているだろう僕に対し、すみませんと呟き藤堂はゆっくりと手を離した。 「低燃費もいいですけど、食べる癖はつけたほうがいいですよ。先生の場合、多分きっと身体がお腹が空く感覚を忘れてるんですよ」  心配そうな藤堂の声が聞こえるが、もはや僕の耳には届いていない。正直いまは緊張で固まり過ぎて身体が痛い。自由になった手をとっさに引いて、僕は顔を両手で覆い大きく息を吐き出した。

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