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第45話 接近 2-4
「正直に言えば、ずっとあなたに触れていたいです」
ちょっと可愛いなんて思った瞬間、仔羊は狼に変わった。
「そ、それは、なんて言うか、心臓に悪い」
再び藤堂の言葉にカウンターパンチを食らい、僕はまたがっくりと頭を垂れ俯いた。
「……これからは、なるべく気をつけます」
「ん、そうしてもらえると助かる」
早過ぎる鼓動に戸惑いながら僕はメニューを開いた。しかしランチメニューは肉に魚にパスタと、選り取りみどりで悩ましかった。そしてさんざん悩みに悩み抜いた結果、頼んだのは魚がメインのランチだ。それはサラダやスープもついて非常にボリュームがある。きっと自分一人だったら食べきれる自信がなく、それを頼むことはなかっただろう。
「お待たせしました」
そしてしばらくして運ばれてきたランチは予想以上で、ボリュームもさることながら、料理自体がかなり美味しかった。けれどいまは一口目の感動よりもとにかく恥ずかしさが先に出て、喉を通るものも味がわからなくなりそうな状況だった。
「そんなに人の顔見てて楽しいか?」
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