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第47話 接近 2-6

 どちらにせよ。この先も心臓には大きく負担がかかるということなのか。心臓に毛が生えるくらいの豪胆さが欲しい。しみじみそう思いながら、僕は藤堂に気づかれないくらいの小さなため息をついた。 「この際どっちでもいいか」  藤堂が笑っているのを見るのは正直、嫌いじゃない。 「やっぱり言った通りだったでしょ? 食べ物を前にすればちゃんとお腹が空くって」 「ん、まあ、確かに」  注文の前、メニューをパタパタと閉じては開きを繰り返していた僕に、とりあえずなんでもいいから頼んでみろと藤堂は目を細めた。  そしていま、悔しいことに運ばれてきたランチはほぼ完食しかけている。 「それに一人より二人で食べたほうが美味しいですよ」 「……なんか、餌づけされてる気がする」 「ほんとにしてあげましょうか?」 「それは遠慮させてくれ」  くるりとフォークに巻かれたパスタの先をこちらに向けて笑う藤堂に、僕は迷うことなく丁重にお断りさせて頂いた。そしてそんな僕に藤堂は不服そうな表情を浮かべ、それを自分の口へと運んだ。

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