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第57話 接近 4-5
「ほとんど顔出ししてないからね、よっぽどじゃないとバレないよ」
戸惑う僕の心情を読んだかのように、渉さんは楽しげに笑みを浮かべる。
その言葉を聞いて軽く辺りを見回してみれば、彼の言う通り来場者は写真家――月島渉の存在に気がついていないようだ。彼はメディアに顔出ししていればすぐに目につく人だ。
「うーん、渉さんはモデルさんとかに見えるかも」
「そうかな? 自分は見た目とかあまり気にしないけど、佐樹ちゃんが褒めてくれるなら、なんでも嬉しいかな」
そう言って笑った渉さんを少し身体を引いて見上げれば、淡いブルーのサングラスの向こう側で目を細められる。その目に気づき、僕は改めて彼の姿をまじまじと見つめてしまった。
上下黒で統一された装いなのだが、相変わらず派手な人だと思った。彼は肩先まであるキラキラとした金茶色の髪を首元で結い、エメラルドを思わせるような緑の瞳をサングラスの向こう側に隠している。僕より確か四つ年上だった気がするが、学生の頃に会った時とあまり変わっていない気がする。年齢不詳はハーフだからなのか。だいぶ前に聞いた話に寄れば、母親がイギリスの人だった気がする。
見るからに外国の人かと思わせる髪や瞳、白い肌。彼の顔立ちは鼻筋が高く、目は切れ長でバランスが完璧に整った綺麗な芸術品のようだ。
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