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第71話 接近 7-1
周りが顔の整った人ばかりなのに、なぜ自分がそんなに好かれるのかわからない。秀でたところがほとんどない平凡過ぎるほど平凡な僕だ。
「佐樹みたいなタイプは結構、モテんだよなぁ」
小さく唸りながらこちらを見る明良に首を傾げると、ため息をつかれた。
「美人がいいとか見た目が可愛いほうがいいとか、容姿の重要度も色々あるけど。佐樹みたいな素直で素朴な感じは男とか女とか関係なく、案外惚れられやすい。なんか一緒にいて安心すんだよな。それにお前は自分で思ってるよりもずっと可愛いぞ」
「……」
「あ、俺は違うぜ。俺はお前とはずっと友達でいたいし、そういう目で見たことはいままで一度もないからな」
目を細めた僕に明良は慌てて、ないないと大袈裟なほど手を顔の前で振る。まあ、今更聞くまでもなくわかっていることだ。高校の時にお前とは長く友達として付き合っていきたいからと、衝撃のカミングアウトをされたのだ。あの時の驚きはいまでも忘れない。
「んで、いま悩んでんのは渉か? まあ、それはないか。あいつのことは眼中ないだろ。やっぱり噂のイケメンくんか」
あいつは当て馬が精々だと、好き勝手に言いながら明良はにやにやと笑う。
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