72 / 1096

第72話 接近 7-2

「うーん」  話を自分に引き戻されて思わず口ごもる。なんと言ったらいいのか、自分でもよくわからないというのが正直なところだ。確かに藤堂のことは気になっているけれど、それだけじゃないと言うか。 「どんなタイプ? 渉がマジになってるってことはかなりいい男なんだろ」 「渉さんが、本気?」 「おう、珍しくかなり息巻いてたぜ。諦めろとは言ったけど」  思い出し笑いをしながらも、興味津々な様子で身体を乗り出してきた明良に眉をひそめる。 「お前、また別れたのか?」 「ああ、わかる? そうなんだよなぁ。なんでみんな離れていくかな」  腕組みをし首を傾げる明良に頭が痛くなる。相手がいない時の明良は呆れるほどに遊びが激しい。いま外に関心が向いているのは相手がいない証拠。それでも、恋人ができると途端に大人しく一途になる。それは端から見ていて驚くほどにまっすぐなのだ。  しかしどんなに明良が一途でまっすぐでも、なぜか長く続かないのだ。 「エッチの相性が悪いとか? うーん、それはやっぱり重要だよな。もう少し俺も修行が必要なのか? 俺の愛は深海より深いんだけどなぁ」 「……明良、もうその話はいい」  ダラダラと話し出した明良の声に被せ遮ると、一瞬目を丸くして明良がこちらを見る。

ともだちにシェアしよう!