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第72話 接近 7-2
「うーん」
話を自分に引き戻されて思わず口ごもる。なんと言ったらいいのか、自分でもよくわからないというのが正直なところだ。確かに藤堂のことは気になっているけれど、それだけじゃないと言うか。
「どんなタイプ? 渉がマジになってるってことはかなりいい男なんだろ」
「渉さんが、本気?」
「おう、珍しくかなり息巻いてたぜ。諦めろとは言ったけど」
思い出し笑いをしながらも、興味津々な様子で身体を乗り出してきた明良に眉をひそめる。
「お前、また別れたのか?」
「ああ、わかる? そうなんだよなぁ。なんでみんな離れていくかな」
腕組みをし首を傾げる明良に頭が痛くなる。相手がいない時の明良は呆れるほどに遊びが激しい。いま外に関心が向いているのは相手がいない証拠。それでも、恋人ができると途端に大人しく一途になる。それは端から見ていて驚くほどにまっすぐなのだ。
しかしどんなに明良が一途でまっすぐでも、なぜか長く続かないのだ。
「エッチの相性が悪いとか? うーん、それはやっぱり重要だよな。もう少し俺も修行が必要なのか? 俺の愛は深海より深いんだけどなぁ」
「……明良、もうその話はいい」
ダラダラと話し出した明良の声に被せ遮ると、一瞬目を丸くして明良がこちらを見る。
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