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第74話 接近 7-4
「そうだな、やっぱり遊びの時は割り切れるタイプじゃないと駄目だろ。その気もないのにずるずるされても困るし。一晩楽しけりゃいい」
「不毛だ」
「そんな怖い顔をしなくてもいいだろ」
明良の答えに思わず顔が険しくなる。言っていることはなんとなく理解しようと思えばできるが、それでも遊ぶ、と言う感覚が想像できない僕には到底わかち合うことができない気持ちだ。
「大丈夫だって、なにも佐樹の彼氏をどうにかしようって思ってはないぜ」
「どうにかってなんだよ!」
にやにやと笑う明良におしぼりを投げた。避けることなくおしぼりを顔で受け止めながら明良はますます笑みを深くする。
「なにをそんなに笑ってんだよ」
「いやあ、珍しく佐樹が食ってかかるからさ。佐樹の彼氏はよほどいい男なんだろうなぁ、興味深いな、と思って」
「別に、付き合ってるわけじゃ、ない」
明良の言葉に思わず顔が熱くなる。口ごもりながら空になりかけているグラスに口をつけると、また明良が後ろを向いて大きく手を上げた。そして目の前に新しいグラスを運ばれる。
なんだか、なにを口にしても味がしないのはなぜだろう。
「まあ、悩むのは結構だけど、あんまりいたいけな少年をもてあそばないようにしろよ」
「は?」
明良の言葉に思わず眉間にしわが寄る。一体いつもてあそんだというのか――心外だ。けれど不服そうな僕に対し明良は呆れたように肩をすくめる。
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