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第76話 接近 7-6
「佐樹は男相手に意識なんかしないだろうけど、なんかおかしいと思うだろう、あんだけ毎回ベタベタされてりゃ」
「別に」
確かに会うたび会うたび抱きつかれたり、キスされたり、スキンシップは激しいし、会いたかっただの、寂しかっただの、甘い台詞は吐かれるし、毎回どこかへ誘われたりするし――ん? あれ?
「なんか心当たりでもあったか」
急に固まった僕に明良は目を細めてビールを煽った。その視線は呆れた冷ややかなものだった。
「だって渉さんは誰にでも、そうじゃないか」
冷たい視線に言葉尻が小さくなる。性格からしてオープンな渉さんは、誰に対しても比較的あの調子だ。だから冗談なのか本気なのかがわかりづらい。これは僕が鈍いからだけではないだろう。
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