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第83話 接近 9-2

 あれから日付が変わる頃まで明良に付き合わされて、朝になり目が覚めて見ればどうしようもないほどの胸のムカつきを覚えた。それは悩める心の内から来るものではなく。  明らかに――二日酔い。昨晩いつの間にかアルコール入りにすり替えられていたグラスのおかげで、僕は清々しさとは縁遠い朝を迎えていた。 「明良のやつ、今度は絶対に奢らせてやる」  二日酔いの頭痛に悩まされて出勤すれば、朝一番に明良からのメールを受信した。 「悪い、覚えてない」  大ジョッキを二十杯も飲んで酔わないやつはもはや人間ではない。一応、人並みだったのかと思いもしたが、明良は次の日にまったく残らない人並み外れたアルコール分解能力の持ち主だ。しかも飲んでいるあいだはほとんど酔っ払った様子を見せないので、会計時にどれだけ飲んだのか改めて知らされて驚かされることがよくある。  こちらは下戸だから割り勘という言葉は明良と食事に行く際には存在しない。食べ物もそんなに食べない、酒も飲まないため、大体は三分の一を僕が支払う。それでも多いような気分になる時がある。 「まったくなにが悪いだ。バーカ」  恨み辛みを思いつくだけメールに打ち込み送信する。

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