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第94話 すれ違い 2-3
「そんなことより、西やんご飯は食べた? まだなら一緒に食べない?」
「え? ああ、まだだけど」
まだ少し話を聞きたかったけれど、バッサリと打ち切られつい口ごもる。
あとで片平にでも聞いてみようか。
三島に腕を取られて食堂へ入れば、少し出遅れたからか中は生徒たちでごった返していた。その人混みを目にして無意識に眉間にしわが寄る。
「こっち、こっち」
険しい顔をして立ち尽くしている僕を手招き、三島は人混みを縫って進んで行く。そしてなぜか食堂を突っ切り厨房横にある勝手口へ向かって行った。
「どこに」
「しー、いいからこっち」
口を開きかけた僕へ向かい口元に人差し指を当てると、三島はおもむろに僕の手を掴んで歩き出す。そして三島が勝手口の扉を開けば、ほどよく冷たい気持ちのいい風が吹き込んだ。
「ここは?」
拓けた視界に思わず首を傾げる。目の前でそよそよと風に吹かれて揺れる緑の葉っぱが目に留まり、ここから先は屋外であることがわかる。しかし足元はタイル張りになっていて、それは木の合間を抜けてさらに奥へと続いていた。
「秘密の場所」
呆けた顔の僕を覗き込んで三島は悪戯っ子のような顔で笑った。
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