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第97話 すれ違い 3-1

 晴れ渡った空にゆっくりと流れる白い雲。  窓際に寄せた椅子に腰かけ、俺はぼんやりと外を眺めていた。けれどずっとそんな代わり映えのない景色を見ていると、正直次第に飽きてくる。ため息交じりに室内へ目を向ければ、慌ただしく動き回っている神楽坂の姿が目に留まった。 「案外、真面目なんだな」  黄色い頭は普段から一際目立つが、いまは余計に目に入る。しかしそんな忙しい級友を手伝う気など毛頭ない。見ているだけでいいから、手伝う必要はないからと言われ、腰を上げるほど自分はお人好しではなかった。 「こういう時って女子は扱い易くて楽だな」  けれどふいに目が合えば、固まりあった数人の女子たちがなぜか色めき立つ。 「でも面倒くさい」  頬を染めるあれがあの人だったならば、間違いなく可愛いとそう思えるが――。 「なにを考えてるんだ俺は」  それを想像してくらりとした頭を抑えると、俺は小さくため息を吐いた。 「はいはい、これ並べて」  ふいに神楽坂の声で意識を引き戻される。

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