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第98話 すれ違い 3-2
四角く組まれた長机の上に、いつの間やら片手に乗る程度しかない、小さな折に入った料理がいくつも並んでいた。彩り鮮やかなそれらに感嘆の声が上がり、会議室は和やか過ぎるほど和やかだ。
「この時間に集まったのはこれの為か」
俺はそれらを眺めながら思わずため息を漏らした。
昼休みの招集。今回は来賓に出す料理の試食と言うところだろう。こういうところまで実行委員が行うとはなんとも面倒くさい話だ。この調子だと何度呼び出されるかわからない。
そんな会議室には現在、三年の実行委員と生徒会が集まっている。一年と二年は創立祭の催し物を演出する役割で、三年はなにかと忙しいことを考慮して、準備にさほど時間を取られないホスト役に回るらしい。変な気遣いをするくらいなら、いっそ外してくれればいいのにと、いまはそう思わずにいられない。
「先生、ご飯は食べたかな。また乾き物じゃなきゃいいけど」
ふと思い出された姿に思わず苦笑する。窓の外を眺めて準備室の辺りに視線を向けるが、ここからでは死角になってそれは見えなかった。
「こんなことなら逃げたりしなきゃよかった」
朝の失態を思い出し頭が痛くなる。視線を感じて顔を上げた瞬間、こちらをじっと見ている彼に気がついた。しかし俺は思わず顔をそらしてしまった。
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