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第103話 すれ違い 4-2

「ああ」  神楽坂を見下ろす峰岸の言葉と視線に、俺はその意味を悟った。 「峰岸の妹に手をつけたのか」  確か峰岸には二つ下の妹がいた。今年の春にここへ入学した気がする。これでいて意外と妹には甘いところがあるから、入学早々に彼氏ができて、しかもそれが神楽坂で、八つ当たりに近い嫌がらせだろう。もしかしたら今回、神楽坂が実行委員長になったのも嫌がらせの一つなのかもしれない。 「随分と手が早いな」 「そんな物騒なこと言うな! き、清く正しく健全な……お付き合いさせていただいてます」  最後の方は峰岸の視線にすくみ上がり、言葉尻が小さくなっていく。次第にこの空気に耐えられなくなったのか、神楽坂は脱兎のごとく逃げ出した。 「お前がその調子だと、あの子は嫁に行くどころか、今後また彼氏を作るのも難しいな」  神楽坂の健闘をつい祈りたくなってしまった。 「おかしな虫が寄っても困るからな」  目の前で皮肉めいた表情を浮かべ、こちらを見ている峰岸に息をつけば、ふいに携帯電話が震えた。制服のポケットに入れていたそれを抜き、着信を確認するとメールを一通受信している。 「弥彦?」  昼休みが終われば顔を合わせると言うのに、なんの用かとそれを開けば――。 「優哉に会いに来たみたい。いなくて寂しそうだったから捕獲した」

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