104 / 1096
第104話 すれ違い 4-3
一瞬その文面に首を傾げたが、スクロールする画面下に表示された写真を見て、俺は思わず目を見開く。そこには少し驚いた表情を浮かべ、箸先を口に当てながら、首を傾げてこちらを見ている彼がいた。その顔に自然と頬が緩む。
「ちゃんと食べたんだ」
心配していた食事事情はちゃんと解決されていたようで安心した。黙っていると食べることさえ忘れる人だ。ほかならぬ弥彦に捕まってよかった。
「なんつう顔をしてんだよ」
突然、耳元近くで聞こえたその声に顔を上げれば、峰岸が画面を覗き込んでくる。視線から外すように素早くそれを閉じると、呆れたように目を細められた。
「はあ、なるほどね。センセの写真を見るだけでもそんな情けない面になるんだな」
「鬱陶しい」
急に肩を組むように腕を乗せられ、俺は振り払うように身体をよじる。しかしそれを阻むように肩を掴まれ、俺は思わず舌打ちをしてしまう。
「以前のお前なら、そんなに他人に入れ込んだりしなかったのに。半年で、というよりこんな短期間でそんなに変わるもんか?」
「……」
峰岸に言われなくとも、自分がどれほどあの人に入れ込んでしまっているか、よくわかっている。いままでは見ているだけでも満足していたのが、告白をして近づいて、もっと傍にいたいと思い、さらにあの人に惹かれている自分がいる。
ともだちにシェアしよう!