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第106話 すれ違い 5-1
たまに外で食事をするのはいいものだと、そよそよ吹く風に和みながら、ボリューム満点の定食を口に運ぶ。
「いただきます」
今日のA定食はハンバーグ。ジューシーなそれはほかほかと湯気を立て、食欲をそそる匂いがたまらない。けれどやはりどうにも自分は食べるのが遅いようだ。いや、向こうが早過ぎるのか。
育ち盛りってこんなだったなと昔を懐かしみつつ、あっという間に定食を平らげてしまった三島の姿にいささか戸惑っていると、ふいに携帯電話を目の前に構えられた。
「なにをしてるんだ」
「うーん、優哉に送ろうかと思って」
なに食わぬ顔で三島がそう答えたのと同時、カシャリと音が響く。
「お前なぁ」
いそいそとメールを打つ姿を呆れた顔で見れば、いつものように三島はへらりと笑った。
「陣中見舞い。朝あんまり元気なかったから、西やん見れば元気になるかも」
「……そんな恥ずかしいことするなよ」
思わず顔が熱くなる。そしてそんな僕を見ながら三島は至極楽しそうだ。しかしなに気なく話しているが、三島は僕たちのことをどう思っているのだろう。
「三島?」
「ん、なに」
恐る恐る声をかければ、三島はきょとんとした顔で首を傾げ、瞬きをする。
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