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第108話 すれ違い 5-3

 だがやはり少し胸の辺りがモヤモヤしている。こんな些細なことに動揺し過ぎて、自分が馬鹿みたいだ。恥ずかしい。 「三島はいつから藤堂のこと知っているんだ」  再び疑問を投げかけると、三島は小さく唸り首を傾げた。 「優哉の好みのことだよね。うーん、もしかしてそうなのかなって気がついたのは中二の終わりくらいかな? あっちゃんは結構前から知ってたみたいだけど」 「ふぅん、片平と藤堂って仲がいいよな」 「え?」  ぽつりと呟いた僕の言葉に、なぜか三島は目を丸くする。そしてしばらくあ然とした面持ちで僕を見てから、小さくため息をついた。 「やきもちを妬くだけ無駄だよ西やん。あの二人は利害関係が一致してるだけだから」 「は? やきもちって?」  三島の言っている意味が理解できずに首を傾げれば、無意識かぁと再びため息をつかれ肩を落とされた。 「とにかく、西やんが心配するような関係じゃないから安心して」 「心配って?」 「ううん、なんでもない」  困惑した表情のまま、三島はゆるゆると顔を左右に振った。その仕草に僕は首を傾げるしかできなかった。 「噂をすれば優哉からだ」  テーブルに置いていた三島の携帯電話がカタカタと振動する。表のディスプレイを覗けば藤堂の名前が見えた。 「あ、もしもし優哉? え、なんでそんなに怒ってるの! えっえ? な、なに、はっ? 場所?」  電話に出た三島の声が急に焦ったように早口になる。藤堂の声がスピーカーから漏れ聞こえ、僕はあ然としてしまった。

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