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第115話 すれ違い 7-1

 嫉妬している? 僕が片平に?  それはあまりにも予想外の言葉で、頭の中が真っ白になってしまった。まさかそんなはずはない、そう思っているのに、あ然としている僕へ片平は小さく首を傾げる。 「先生は鈍いくせに、かなり独占欲強いほうだよね」 「は?」  突然の問いかけに思わず間の抜けた声が出る。 「自分以外と仲よくしたり、自分じゃない人に笑いかけたりするのって嫌でしょ」 「そんなことは」 「ない? なくは、ないよね」  違うと否定しかけて口ごもってしまった。少なからず心当たりがある。藤堂が自分には見せない表情を誰かに向けていたりすると、少しこうモヤモヤすると言うか、苛々すると言うかそんな気分になることがある。確かにそれは以前、気がついたことだ。  ということは、三島には感じなくて、片平には感じるあの違和感が嫉妬? そういえば昨日、三島にもやきもち云々と言われた気がする。 「先生はノーマルだから。女相手に嫉妬するのは正常だけど。優哉の心配するなら男よ、男」  力説する片平の言葉に一瞬納得しかけてから、僕は大きく首を捻る。

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