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第128話 すれ違い 9-4

「さっきの声、ちょっとエロ可愛かった」 「誰が言うか!」  ありえない、ありえない、ありえなさ過ぎる。この男の頭の中身はどうなっているんだ。って言うか無駄にエロい色気をなんとかしてくれ。こんなのは絶対高校生じゃない。なにかおかしい、絶対おかしい。 「お前、女子にもいつもこんな真似してるんじゃないだろうな」  あまりにも手慣れた行動と落ち着いた余裕のある態度。まさかと思い峰岸の顔を見れば、意外にも驚きの表情を浮かべていた。 「そんなにしょっちゅう手を出すわけないだろ。女は下手に手をつけるとすぐ本気になる。まあ女に限ったことじゃないけどな」 「……まさか」  普段は女子をはべらせている姿ばかりが目にとまったが、なんとなくこの無節操さは感じていた。 「ああ、俺は両方イケるけど?」  なに食わぬ顔で答える峰岸に、一瞬だけ目の前が暗くなる。 「お前、最悪だ」 「いやいや、最高の間違いだろ?」  血の気が引いて真っ青になっているであろう僕の顔を見下ろしながら、峰岸は唇を舌でなぞり目を細める。その視線に身体中が冷えて、すくみ上がってしまう。 「どいてくれ」 「センセ、もしかして怖いとか? 声が震えてるぜ」 「うるさい、こんな状態で冷静でいられるほど、図太くない」  そもそも普通に生活をしていて、こんな状況に陥ることなんてあるわけがない。なにが悲しくて峰岸に押し倒され、キスを迫られなければならないのか。

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