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第131話 すれ違い 10-2
「西やん!」
焦ったように声を上げた三島の腕に落ちた。足に力が入らない。
「うわ、最悪」
とっさに三島の腕を掴んだ手がずるずると下へ伝い落ち、彼の手首で止まった。そしてしゃがみ込むように膝をついた僕に合わせ、三島も片膝をつく。思っていた以上に精神的に来ていたんだと今更ながらに気がついて、情けなくなった。こんなことなら、まだ生徒に胸ぐらを掴まれ、目の前で拳を握られるほうがまだマシだとも思える。そのくらい先ほどは別の意味で身の危険を感じた。
「ごめんね、あっちゃんに言われて急いで来たんだけど」
「別に三島が謝ることじゃないだろ」
先ほどの勢いはどこへやら、急に落ち込んだ表情を浮かべる三島に苦笑いしてしまう。相変わらず犬みたいな奴だ。耳や尻尾がついていそうで申し訳ないが可愛い。大きな犬が耳を伏せたような錯覚がして、思わずいつものように頭を撫でてしまった。
昔こんな犬が実家にいたような気がする。
「西やんごめんね」
「だからいいって、こっちこそ悪かったな」
ぎゅっと抱きしめられて一瞬肩が跳ね上がったが、すがりつくように抱きつかれると、逆にこちらが申し訳なくなってしまう。
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