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第132話 すれ違い 10-3
なだめるように背中を撫でてやれば、ため息と共に頭を肩に乗せられた。
「でもちゃんと注意しておけばよかった。あいつが関わるといっつもロクなことないんだ」
「そうか」
「西やんは元々自分に対する意識が低いから、心配だったんだよ。優哉は優哉でいまなんか色々テンパってるし。俺も気をつけるけど西やんも気をつけて」
「ん、ああ」
危機管理能力がないだの意識が低いだの言われるとさすがに微妙な気分だ。そんなに僕は隙だらけなんだろうか。まあ鋭いかと言われれば、否と言えるけども。しかしこれはこれで少し落ち込む。
「西やんはね、人の感情に敏感なのに、自分が関わることには無関心なんだよ。鈍感とも言えるけど、ちょっと違っててどこかに置き忘れてるのかなぁ」
こちらの心情を察したように三島が小さく笑った。
「置き忘れてる?」
なんだか三島は時々難しいことを言う。意味がわからず首を傾げれば、そのうち見つかるよと笑われた。
「さて、今日はもう帰ろうか」
よいしょと膝に手を置き立ち上がると、三島は僕の手を引く。それに引っ張り上げられるように立ち上がれば、ふらりとしながらもなんとか踏みとどまれた。
「部活は?」
「今日は西やんと一緒に帰りなさいって部長命令」
「そっか、片平が」
ニコニコと笑う三島に無意識に肩が落ちる。ここまで気を使われるのは教師として、いや大人としてどうだろうか。
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