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第133話 すれ違い 10-4
「寄り道して帰る?」
俯いた僕を覗き込むように身を屈めた三島の視線がまっすぐにこちらを見る。よっぽど彼らのほうがしっかりしていて、自分がひどく情けない。
「西やんこれ」
「ん?」
ふと目の前に紙を一枚差し出された。一瞬なにかわからず眉をひそめてしまったが、それは先ほど峰岸が置いて行ったものだ。
「峰岸にはあんまり関わって欲しくないけど、優哉もいるし引き受けたら?」
「うーん、そうだな」
差し出された紙を受け取り言葉を濁すと、三島はほんの少し困ったように笑う。
「いまはなるべく一緒にいたほうがいいと思う」
「三島は、なんだかすごい大人だなぁ」
普段はニコニコ笑ったのんびりとした姿しか見せないのに。いまは誰よりも落ち着いていていささか驚きを隠せない。
「でもだから三人のバランスが取れてるのかもな」
三人が幼馴染みだと聞いた時はアンバランスだと思ったが、いまならそうは感じない。三島のしっかりしたところが三人のバランスを上手く取っているのだろう。
「あっちゃんと優哉は似てるんだよね。でも一番手がかかるのは、ああ見えて優哉なんだよ」
「そうなんだ」
僕の言葉に目を細め、三島は声を上げて笑った。
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